|  (サンマルコ広場-対岸のマジョーレ島より)
サンタルチア駅を出ると雨だった。ヴァポレット(水上バス)でサンマルコ広場に向かう。ここに来た目的は世界に名だたるカットグラス・ヴェネチアングラスの工場を見るためだ。
サンマルコ広場は仮装行列で溢れている。そう、今日は運のいいことにカルナヴァーレ(カーニバル)だったので、仮装行列をやっているのだ。おどけたピエロを横目に見て、工場の見学コースの為にガラス屋にはいる。
ガラス屋に入ると、その煌びやかに彩られたガラス製品に眼を見張る。様々な色があり、その華麗さは昔の権勢を彷彿とさせる。その奥に目的の工場があった。
工場の中は熱く、一見して熟練していると判別できる、年老いた人々が鞴を吹いていた。その赤らけた顔の中の眼光は、職人としての年輪を浮かび上がらせている。
さて、私が最も興味あったカットの工程である。カットではダイヤ砥石を使い、見事なまでの職人技を披露してくれる。最初から最後まで見たのはこれが初めてだった。みんな足早にその工程を過ぎ去っていたため、私が最初から最後までじっと見ていると、作っているおじいさんが途中で気づき、完成するとどうだと言わんばかりに得意そうに赤らけた顔に満面の笑みを浮かべながら、こちらを見て、グラスを手渡してくれた。
その手触りは意外にも柔らかく感じられた。(まぁガラスなんだからそんな筈はないのであるが)細部にも凝っており、さすがと言える技の爪跡が見える。まぁ値段が高い訳である。いくらするのか聞いて見たが通じない。近くにいる人を介してようやっとわかった金額は¥5000である。店に行くと¥10000するそうだ。いらない(笑)
どこの世界にも職人は存在する。それがどんな業種であれ、その長年培った技術はおいそれと後世に伝えることは難しいであろう。そんな彼らは世界の財産である。是非長生きしてもらいたいと思う。
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