|  (ウィーン公共墓地にて)
ウィーンの街は元々城塞都市であった。日本の皇居のようにお堀の代わりに分厚い城壁で守られている。中心を取り巻く城壁は現在ではすべて取り払われ、環状型の道路になっている。そこには路面電車が走り市民の足となっている。私はここで「第三の男」ゴッコをするのである。(笑)
オーソンウェールズふんする「第3の男」の舞台は、このウィーンでの話である。物語ではオーソンウェールズは死んだことになっているが、その男が主人公に再会する場所が、ウィーンの外れにあるプラターン遊園地の観覧車であるのは有名であろう。
映画の中では、移動式遊園地にあるごく小さな4人乗りの観覧車であるが、現在では映画の面影のある観覧車は存在しない。地上60mはあろうかという大きな観覧車しかないのである。ゴンドラ自体もひとつで20人は乗れそうな大きなゴンドラである。
映画の雰囲気を味わおうと思っていた私にはすごくショックな事であった。いまでもあの観覧車があるのは東南アジアにある移動式の遊園地の観覧車しかないであろう。時代は、あの小さな観覧車では物足りなくなってしまったのであろう。あの映画は有名なのだから、せめて、どこか一角に残してもらいたかった。
逆に、ウィーン公共墓地、ここは映画でもでてくるが、当時の雰囲気はそのまま残っている。もちろん木々の生え方は変わっているが、哀愁漂うあの雰囲気を今でも残している。ここだけが時が止まっているようだ。
時代は移り変わり、どんなに人が変わったとしても、映画の中ではすべてのものが、その存在として留まってくれる。その凍った時間を今に求める方が無理なのは百も承知であるが、映画の中の時間を目の前で再現できる喜びはとても大きいのである。
あなたも好きな映画を追いかけて見たら?
 (プラターン遊園地の観覧車) |