|  (新しい木でできているのがよく分かる)
ルツェルン、スイスのチューリッヒから南にある古い街並みが残る都市である。ルツェルンの話がよくでてくるのは、お気に入りの街だからである。このルツェルンにはヨーロッパ最古の橋がある。できたのは今から700年ほど前で屋根つきの橋である。
ルツェルンの駅を降りると目の前に遊覧船乗り場があるが、そこからその橋が良く見える。橋の真中に水塔があるのでよくわかる。歩いて行くとものの数分で到着する。
そこで私は違和感を感じた。ヨーロッパ最古の橋であるカペル橋が、真新しい木でできているのである。とりあえず、橋を渡って見るが、独特の切り出したばかりの木の香りが漂う。
橋の真中の水塔に小さなお店があり、例のスイスナイフなどを売っている。買い物ついでに店員さんに聞いてみたところ、火事で燃えてつい最近建てられたばかりだそうだ。道理で新しい訳である。なぜか違和感を感じていた。
最近、大分で九州最古の山門と言われる寺に行ったが、そこの本堂が真新しくてびっくりしたことがある。山門は今にも崩れそうなほど古いのであるが、何か違和感を感じる。周りの木々には雷が落ちたように木の皮が真っ黒になっている。その黒い面が本堂を向いてるので、『あぁ火事で本堂が燃えたのだな』と思ったのであるが、古きものと新しきものが同一の空間に存在するとなにか違和感を感じる。その感覚と同じ物である。
贅沢なのかも知れないが、味気なさを感じてしまうのである。やはり、古きものは古い存在としてあって欲しい。そこに新しきものがあると、その存在価値が薄れていくように感じるのである。かといって、建て替えをしなければならないのは、よく分かるのである。
今から700年後にはもちろんそんなことを感じさせない古い橋として存在するであろう。その歴史は、今から始まるのである。過去を捨てて!
|